ゆし木
ゆし木(イスノキ)は、沖縄ではよく見られる木で、防風林としても利用されています。また、三線の棹(さお)に使用されることも多く、ゆし木の三線は、堅くて丈夫なため、長持ちしやすく、音色は柔らかく、優しく、良く響く黒木に負けないほど豊かです。「開鐘」と呼ばれる名器の中にもゆし木の棹は入っています「富盛開鐘(とみもりけいじょう)」。
特に樹齢の永い木から採れる「ゆしの実」「実入りゆし木」と呼ばれるものは、非常に希少で高品質な芯材を指します。この芯材は、濃い模様 が入り、密度が高く、音の響きが非常に良いとされ、非常に堅く、身の締まった木材が特徴です。また、スンチー塗り(透明塗り)を施すことで、その美しい木目を楽しむことができます。
ゆし木yaでは、芯の色が黒いに近い濃茶なものを「黒ゆし木」、赤っぽいものを「赤ゆし木」と呼んでいます。
ゆし木は、最近では伐採が制限されており、古民家の解体時に出てくる木材を再利用するなどして確保していますが、非常に貴重なもとのして、ますます希少価値が高まっています。
もし、ゆし木の三線に興味があるなら、早めに手に入れることをお勧めします。今後さらに手に入りにくくなるかもしれません。
044 西表産黒ゆし木 与那城型 (故)奥田武作
「開鐘」
夜明けにつく寺の鐘を沖縄では開門鐘(けーじょーがに)と言いますが、琉球王国時代に名工・真壁里之子(まかべさとぬし)が製作した三線を弾き比べ、特に音色の良い五挺の三線は、夜が更けても美しい音色を保ち続けたことから「五開鐘(ごけいじょう)」と呼ばれるようになりました。
「五開鐘」の中でも特に有名なのは「盛嶋開鐘(もりしまけいじょう)」で、現在は沖縄県立博物館・美術館に所蔵されています。他にも「翁長開鐘(おながけいじょう)」「志多伯開鐘(したはくけいじょう)」「湧川開鐘(わくがーけいじょう)」「富盛開鐘(とみもりけいじょう)」などがあります。
「ゆしの実」「実入りゆし木」
丸太の内部には「芯材(しんざい」と「辺材(へんざい)」と色や性質が異なる木材の部位があります。
「芯材」は丸太の中央部の濃い色の部分で、「辺材」は丸太の外周部で淡い色の部分です。
「芯材」は、元は「辺材」で樹木の成長の中で永い年月を経て、硬く締まった「芯材」へ変化します。
ゆし木の棹で、「ゆしの実」は「芯材」のみを使ったもの、「実入りゆし木」は「芯材」と「辺材」の境界部分を使ったものです。
ゆし木yaで販売している「黒ゆし木」「赤ゆし木」は、特に表示はしていませんが基本的に「芯材」のみ、いわゆる「ゆしの実」の三線です。